群ようこ『ほどほど快適生活百科』を読んで

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最近、群ようこさんの『ほどほど快適生活百科』を読んだので、私的感想を語っていきたいと思います。

わたしは群ようこさんの本を今回初めて拝見したので、群さんがどのような方なのか全くわからないまま読むことになったのですが、『ほどほど快適生活百科』を読んでわかったことは、群さんが

猫愛に溢れていること、

着物愛に溢れていること、

本愛に溢れていること

です。この方は「自分の好きなこと愛」に溢れてるなぁ〜、という印象を受けました。

この本はエッセイ形式になっていて、群ようこさんの私生活のことや仕事から得られた経験などが語られています。群さんの素の部分や人生についても触れることができて、へぇー、この人はこんな生活してるんだ、と初めて本を通して他の人の私生活・センスを見る経験になりました。

わたし的に、この本は、基本「大人の方向け」だと思いました。

理由として、群れさんご自身が還暦を迎えられた立派な人生の先輩である、ということがあげられます。先程述べたように、この『ほどほど快適生活百科』は群さん自身のことが書かれていて、

= 著者と同年代の、年配の方のほうがより刺さる

のではないか、と感じました。

当のわたしは学生なので、これからの人生の参考にしようにも、大御所すぎる人生の先輩の意見というのは、なかなか取り入れずらいところもあるかな、という感じもありました。

ただし、群れさんの若かりし頃のお話も語られているので、そこの部分は若い人にも共感できたり、役に立ったりすることが多かったように思います。

年配の方のみならず、若い世代の人にも見ていただきたいです。

また、作中では群さん自身の少しめんどくさがり屋な性格面が描かれていて、同じくめんどくさがりのわたしには共感できる点が多かったです笑^^*

そんな面倒くさがりの人がどうすれば快適に過ごせるのか、のアンサーとなる部分が見えてくるので、自分の性格ゆえに思い通りに生活を送れていないと感じている人にもぜひ読んでほしいです。

 

私的ピックアップ

79:インターネットは一日三十分まで  より、

インターネットには、午前中に仕事をはじめてから終わるまで、ずっと接続している。しかし今は自分の好きなサイトを見たり、メールをチェックしたりする時間は、一日合計三十分と決めている。

どこかで線引きしないと、ずるずると続けて生活のけじめがつかなくなってしまう。たしかにのめりこむ時期もあるだろうが、自分をコントロールできないのは問題だ。

これは著者のネット生活とスマホ依存者に対する意見で、自分のネットに対する意識を改めさせられる部分でした。わたし自身、スマホやパソコンで文章を書く際に予測変換を当たり前のように使うので、たまに、自分の脳みそを使わないのはやばいよなぁ、と思うときがあります。便利なものにも弊害はつきものだということ、インターネットは自制の気持ちをしっかり持って向き合うべきものだということを改めて実感しました。

84:「だめな私」と感じたときは  より、

落ち込むより、面と向かってではなくても、心の中で相手を褒めてあげるほうが、自分も気分がいいと思う。

マイナスは自分を成長させる糧にはなるが、比較ばかりして落ち込み、それだけで終わってしまってはどうしようもない。無駄な落ち込みはしないで、そう感じたことがあったとしても、相手を褒め、おいしいものを食べて、よく寝ればいいのではないかと思うのである。

「無駄な落ち込みはしなくていい」という部分から、そもそも人はなぜ落ち込むという行為をするのか、落ち込むと何のためになるのか、考えさせられました。人間は落ち込むことで成長できる反面、ずるずると、それが持つ負のエネルギーに心身を侵されることもあります。

人を褒めることは相手も自分も幸せになれる。たとえ、第三者から『褒めてる自分が好きなだけ』『偽善者』と言われても、そういう人にも「他人の意見にちゃんと自分の考えをぶつけることができてすごい」と言える人間になりたい。今は無理でも、そんなフィーリングで生きられる人生っていいな、と思いました。

必要な落ち込みと不要な落ち込みの境目を見極めることも、生きる上で大事なことなんだと学びました。

本書は、表紙の猫ちゃんかわいいな、と軽い気持ちで手に取ったのですが、特に人間関係の項目からは、自分や他人について深く考えさせられることが多く、わたしの中で繰り返し読みたい本になりました。久しぶりの読書はとても良い刺激になりました。

 

『ほどほど快適生活百科』は、自分の生活を違う視点から見たいとき、これからの生活の参考にしたいとき、他人の生活をちらっと覗いてみたいとき、などに気軽に読んでみるといいかもしれません。

群ようこさんの他の作品も読む機会があれば、感想を書いていけたらいいなと思います。